ひとめで嫌われてしまう


「大人からみて良さそう」という絵本と、じっさいの子供の感じ方には、だいぶ開きがあるように感じました。ベストセラーだからといって、喜ばれるとはかぎらないし、子供によっては【暗い感じが好きじゃない】など、ぼんやりした一刀両断もあるように思いました。
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ベストセラーだからといって、喜ばれるとはかぎらない

今回は、「どうぶつのおやこ」「しりとりの大好きなおうさま」「かばくん」「かいじゅうたちのいるところ」「これはのみのぴこ」を選びました。
私はいつも、上限の10冊でかりるのですが、今回は、より甥の好みにあっている と思われる5冊を先に選んだ、残りの組み合わせです。

繰り返しお伝えしますが、私はこの本を、悪いと言っているのではありません。私が子供の頃、読みたかったと感じる素晴らしい本も、この中に含まれています。けれど、どんなに素晴らしくても、「その子の発達や希望や状況に合っているか」に、つくづく左右されるものなのだと思いました。

「どうぶつのおやこ」 | 最高傑作だと思うのですが…

「どうぶつのおやこ」も、とても素晴らしい絵本でした。

猫が好きだというので、興味を持ってもらえるかなと思ったのですが、そんな本でも、瞬く間に、読み飛ばしを実行されてしまいました。「見て情報を得られるのなら、何を感じ取れというのか」というような速度でした。

私はだいぶ寂しく感じましたが、今回はそういう事。そういう事なのだと思いました。

ただ1ページだけ、これはきっと喜ぶだろう、というページがあったのですが、そのページは特別に喜んでもらえました。

また、お話とは関係のないことですが、図書館で借りたものなので、小さな利用者さまが書き込み(というかなぐり書き?)があったページがありました。そして、そのことに大変な義憤を感じていました。

私は、「そうだね、よくない事だね。ちびちゃんだと、いけない事だとまだわからなくて書いてしまったんだね。これから、よくないと知っていくね。できるまで待ってあげようね。」と伝えました。
やや不服は残る感じでしたが、一応、それで納得していただきました。

M.センダックも…

こちらも、絵を見るなり、嫌悪に近い表情を示されてしまいました。
何でしょう。この暗く、柔らかく、にぶい色あいと、なんといっても「かいぶつ」という存在が受け入れられなかったのかもしれません。

2回ほど押し問答となり、「とにかく、嫌なものは嫌」的な雰囲気になりました。
本を開く事すら許してもらえませんでした。

あまい、すっぱい、しょっぱい。人間の味覚の中でも「苦味」をおいしく感じるのは一番最後だと聞いた事がありますが、お話の好みも、そうした感覚と似ているのかもしれないと思いました。

そして、お話の傾向が若干違うとは言え、思い返せば、「ねないこだれだ」にも、前兆があった気がしました。やはり、この時期はたんぽぽ感が重要なのかもしれない、と思いました。

このことについて(スカル系は避けよう)、今後例外はないような気がしました。

そのほかも…

どうにか読んだ「しりとりのだいすきなおうさま」「かばくん」でしたが、で ?という様子でした。
この反応は、つらかった。
のちに続いた「これはのみのぴこ」の反応も、大変きびしいものでした。

それぞれみんな、絵も可愛い、推薦書にもなっている絵本です。
「かばくん」などは、動物園に行き、実際にかばをみた経験があると、全く違ったものにもなると思います。

つくづく、子供の「楽しい」は、一律にははかれないと思いました。

そうして私の今回の読み聞かせは、惨敗に終わりました。

はっきり意見が言えること

はっきりと意見が言えることは、とても大切だと思っています。

「いや」「きらい」の表情がわかる事で、好きなものに出会った時の、【これぞまさに、喜びそのもの!】という違いも、わかるようになる気がします。

それでもやはり、あからさまにつっぱねられてしまうと、心が折れます。

だから、今後もし読み聞かせを続けて、3回連続突っぱねられる事があったら、その時は、この遊びをやめてようと思いました。あるいは、量を減らしたり、お休みをいれようと思いました。

じっさい、「今回は好きなものを用意できなくてごめんね。また次、楽しいものがあれば読みたい?」と聞くと、「うん!」という、元気な返事がかえってきました。

やりなおしの機会は、いろいろあるように感じました。

■今回の5冊

どうぶつのおやこ | 薮内正幸
しりとりの大好きなおうさま | 作:中村 翔子 , 絵:はた こうしろう
かばくん | 作:岸田衿子 , 絵:中谷 千代子
かいじゅうたちのいるところ | 作:モーリス・センダック , 訳:じんぐう てるお
これはのみのぴこ | 作:谷川 俊太郎 , 絵:和田 誠