醤油は、毎日の暮らしの中でなくてはならない調味料です。けれど、1本99円の特売品もあれば、それよりも少ない量で、1,000円以上の商品もあります。
こうした違いは、なぜ生まれるのでしょうか。
私は最近、弓削田醤油の醤油や調味料を使い始めたのですが、あまりにもおいしくて驚きました。いろいろとわかったことを、私なりにご紹介したいと思います。
製造方法の違い
「しょうゆ」と「しょうゆ加工品」
醤油を作るのに必要な原材料は、【大豆、小麦、食塩】です。
この原材料で作られたものの名称を「しょうゆ」と、ひらがなで表記します。さらに、この原料を、麹菌や酵母などの力によって、発酵・熟成させたものを「本醸造」といいます。
いずれも、昔ながらの伝統的な製造方法です。
一方で、スーパーなどで売られている手頃な商品をみると、「しょうゆ加工品」とあります。
例えば、醤油をベースに、かつお節などのだしを加えたものは「しょうゆ加工品」となります。
醤油は法律によって、品質表示の基準が定められていて、醤油に使用できない原材料を加えた時には「しょうゆ加工品」と表示される事になります。
また、醤油に、味や風味を添加物で調整された醤油も「しょうゆ加工品」となります。
白カビを抑えるためにアルコール、甘さを加えるために甘味料、旨味を加えるためにアミノ酸液とアミノ酸、などです。
製造方式は、「混合醸造」か「混合」のどちらかになります。いずれも発酵熟成期間を短くさせる技術です。「混合醸造」であれば、もろみにアミノ酸のうま味成分を添加してつくります。「混合」であれば、発酵・熟成は行わずに、本醸造しょうゆに直接アミノ酸液などを混ぜてつくります。
名称 | 原材料 | 製造方式 |
しょうゆ | 大豆・小麦・食塩 | 本醸造 |
しょうゆ加工品 | 大豆・小麦・食塩、以外を加えたもの | 混合醸造(本醸造+混合醸造) もしくは 混合 ├(混合醸造+混合) ├(本醸造+混合) └(本醸造+混合醸造+混合) |
参考サイト(PDFが開きます):
しょうゆ情報センター 「賢い醤油の選びかた」
> デザインは色々ありますが、情報は統一されています
原材料の違い
「丸大豆」か「脱脂加工大豆」か
たとえば、弓削田醤油さんの醤油をみると、「丸大豆醤油」とあります。
これは、大豆を丸ごとそのまま使っている、という意味です。(誤解されやすいところですが、形が丸い、丸大豆という品種がある、という意味ではありません。)
丸大豆醤油は大変香りが良く、自然な甘みとまろやかさが味わえます。
大豆には多量の油が含まれており、この油は醸造の過程で膜を張り、もろみの酸化や香りが飛ぶのを防いでくれます。瓶詰めまでの過程で取り除かれてしまいますが、このおかげで、きれいで深みのある醤油がつくれる、という美点が生まれます。
それに対して「脱脂加工大豆」があります。
丸大豆の油をあらかじめ取り除いて、醤油の原料用として加工されたものです。流通している醤油のおよそ80%を占めるそうです。
脱脂加工大豆は、吸水性に優れ、タンパク質が凝縮して、分解スピードも速いので、旨みを感じやすい特徴があります。
そのため、メーカーによっては伝統的な木桶仕込みで脱脂加工大豆を使ったり、丸大豆と脱脂加工大豆の長所を生かす形でブレンドしているところもあります。
「油の搾りかすでしょうゆを仕込む≒粗悪品」という意見も見受けますが、上記のような工夫をされている醤油蔵さんもありますので、個人的には、そこだけでは即断できないと感じます。
そうした保留をつけた上で、それでも、下記のような懸念があります。
「脱脂加工大豆」をどうとらえるか
丸大豆醤油を作る時、浮いてきた油は、最終的には捨ててしまいます。そう思うと、先にその油を搾り、有効活用することは大切な知恵なのだと思います。それでも、下記の2点は気にかかるところです。
1つめは、「ヘキサン」
油のしぼり方には大まかに「抽出法」と「圧搾法」という2つの方法があります。抽出法は、ヘキサンという石油系の溶剤をかけて原料から油をとりだします。理由は、手間・時間・量、いずれにおいても効率よく油を搾ることができるからです。
危険性はないとされていますが、当然、成分の残留を気にされる方もいると思います。
2つめは、「どこから来た、どんな大豆か?」
極端に安価な醤油の原料の場合。脱脂加工大豆は、海外で油を搾った後のものを、まとめて輸入されます。
もちろん、生産者の特定はきわめて困難です。
「国産大豆」か「海外産大豆」か
日本に流通する大豆の94%は海外産です。※1
その数少ない国内生産の中でも、さらに「有機JAS認証大豆」であれば、国内消費量の約0.018%しかありません。
「有機JAS認証小麦」も、小麦の国内消費量の0.009%しかありません。※2
弓削田醤油では、素材の多くが、国産の原料や、有機大豆や小麦、埼玉県産のものを使用しています。おいしいのはもちろん、誰が、どのように育てたかわかる大豆です。
市販されている醤油の大半は、海外産の原材料を使い、短期間で醸造します。
短時間に安いコストでうま味の強い醤油を大量に作るからには、相応の経緯があります。
※1 農林水産省 大豆のホームページ 大豆をめぐる事情
※2 弓削田醤油 企業サイト 安全で美味しい理由
埼玉県坂戸市で創業の弓削田醤油
弓削田醤油
弓削田醤油は、埼玉県坂戸市で創業し、200年以上の歴史があります。国産原料の醤油ばかりを造られていますが、それでも、全国的には全醤油量の0.2%しかないそうです。
お醤油をメインに、お味噌や調味料など、比類のない製品を数多く作られています。
HPを見ると、下記のようにあります。
弓削多醤油の特徴
弓削田醤油 企業HP 弓削多醤油の特徴
・国内産の丸大豆、国内産の小麦、海水を干してできた天日塩、これらを原材料にしています。
・杉製の木桶で天然醸造。1年間の長期熟成。
・加熱殺菌も精密ろ過もしていない、酵母菌・乳酸菌が生きた生醤油をつくっています。
(このような醤油は要冷蔵ですし、全国的にも大変めずらしいものです)
(吟醸純生しょうゆ、重ね仕込み生揚げしょうゆ、醤遊王国2階のしぼりたて生醤油が該当します)
「醤油は食品なので安心して口に入れられるものでなくてはいけない、醤油は調味料なのでうまくなければ意味がない。」との考えを守り、日本の味である醤油を作り続けようとしています。
弓削田醤油 企業HP ごあいさつ
こうして出来上がった数々の醤油です。
実際に使っての感想
「吟醸純生しょうゆ」「海の精使用・吟醸純生しょうゆ」「重ね仕込み生揚げしょうゆ」「有機しょうゆ」「高麗郷丸大豆醤油」「柚子醤油」、「高麗郷手づくりつゆ」「埼玉県産地味噌」「高麗郷みそだれ」
1つのメーカーの商品を、これほど使い比べたことは初めてでした。
集中して利用しようと思った理由は、同時に比べないと、違いがわからないと思ったからでした。そうして、その中から自分が一番好むものを選ぼうと思ったのです。
その結果。煮物などの料理に使うのは「高麗郷丸大豆醤油」、お豆腐には「海の精使用・吟醸純生しょうゆ」、おひたしや白身の魚に「吟醸純生しょうゆ」、赤身のお刺身に「重ね仕込み生揚げしょうゆ」、何に使ってもおいしくて万能な「有機しょうゆ」、鍋料理やサラダなどを楽しみたい時に「柚子醤油」と、全くふるいにかけられない形となりました。
個性を添えたい時も、素材の味を活かしたい時も、全てにぴたりと美味しいと感じました。
中でも新鮮だったのは、「海の精使用・吟醸純生しょうゆ」でした。お豆腐などの平凡な素材でも、おいしさが格上げされ、あっさりしていて、つかえるところがないおいしさです。
「有機しょうゆ」は、テーブル上の最後の追加の際、加熱をしない利用時にぴったりと感じました。
お店の料理が繊細で美味しく感じるのは、こんな風に、調味料を適切に使い分けるからなのかもしれない、とも感じました。
かけがえのない商品
もしかすると私は、醤油が好きというより、弓削田醤油という企業が好きなのかもしれないと感じました。世の中に、たくさんおいしい醤油があっても、それ以外のものを自分のもとに取り寄せて、比べてみようとは思わなかったからです。
原材料の選び方や製法、商品が生まれる背景。
発酵や醸造が神秘的で、まだ解明しきれないおいしさもあり、そのことが体にもとっても良いという驚き。
自分の住む土地と、繋がった作物でつくられたものがおいしい、という喜びも大きいと思います。
どれも、熱意がなければ伝わらなかった事ばかりです。
購入できる場所
オンラインストア
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングが公式サイトのようです。
(ロゴを押すと、公式のYahoo!ショッピング弓削田醤油店にジャンプします。)
公式にこだわらなければ…
以下、それぞれ販売されています。
リアル店舗
私が購入したのは、下記のお店です。
醤油王国は、本店が日高市にあります。
醤油に関することを、何でも知ることができます。タイミングがあえば、お醤油づくりの体験ができるかもしれません。
味噌はよくありますが、醤油作りは珍しいですよね、
私も参加したのですが、楽しい時間はあっという間でした。
時の鐘店は、川越の散策が楽しめる場所にあります。
川越の街並みの中でも、もっとも風情ある場所だと思います。
醤油王国 本店
〒350-1201 埼玉県日高市田波目804-1TEL:042-985-8011
営業時間 9:00~17:00
醤遊王国 川越時の鐘店
〒350-0057 埼玉県川越市大手町14-5TEL:049-298-4491
営業時間 10:00~17:00 火曜日定休